日本は外貨を稼がなくてはならない

日本はエネルギー資源がないので、石油などを輸入しなくてはなりません。なので日本は外貨を稼がなくてはいけません。具体的には貿易黒字を計上し続けなくてはいけません。
以上のような話を聞いたことがあると思います。これは、大きな間違いです。
では、何が間違いなのでしょう。

固定相場制と変動相場制

この話の間違いは、「固定相場制」の状況下では正しかったために起きていると思います。
固定為替相場制の下では経常収支黒字の時、政府は民間から稼いだ外貨を自国通貨で買い取り為替相場を安定させます。結果として政府の外貨準備高が増えます。
逆に経常収支赤字の場合は決済のための外貨準備が減るため輸入を減らさなくてはなりません。国内経済が成長していても輸入を抑えて成長を抑制しなくてはいけません。これを「国際収支の天井」といいます。
つまり、石油のために外貨を稼ぐという発想はここからきています。
一方、現在の日本では、ニクソン・ショック以降「変動相場制」を採用しています。
変動相場制の下で経常収支赤字でも国際収支の天井の制約がないので輸入を抑制する必要はありません。そして経常収支赤字が続けば、自国通貨が安くなり輸出量が増えます。それにより、貿易収支黒字となります。外貨を稼がなくても、為替の変動で調整されます。
よって日本で資源を買うための外貨を過剰に稼ぐ必要はないのです。
もちろん為替が今の理論の通りに動くとも限りません。しかし、ここで重要なことは、国際収支の天井がないことと、為替は変動するという事実です。

外貨は貿易以外でも稼げる

また外貨を稼ぐのは貿易収支だけではなく、所得収支という対外債権から稼ぐこともできます。日本は世界一の対外純資産保有国なのでこの所得収支は大きいのです。

日本の資源は

資源に関して言及すれば、日本は資源掘削技術が高いため、資源国と共同で掘削を行っています。確かに国内に資源はほとんどありませんが、外国に技術を提供することで資源を確保しています。
つまり、資源を持っているというのは油田などの資源が領土内にあることと、それを掘削する技術があって始めて資源があるといえるのです。

結論

以上より、資源のために貿易黒字で外貨を稼がなくてはならないというのは完全なる間違いだと言えます。
むしろ、今のこの過剰な対外純資産こそが日本のデフレの原因の一つでもあるのです。
今では、外貨を稼ぐことそのものが目的となってきているため、内需に全く目を向けていません。国内経済を発展させるには内需を拡大していくしかありません。貿易はその次の段階です。今の日本では、その順序が逆になり、内需が無視されデフレが深刻化しています。
グローバリストの戯言に騙されないためにも、国民一人一人がしっかりと経済について考えるべきです。

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