貿易と生活の関係

日本は世界一の対外純資産保有国です。つまり、日本は世界一の金持ち国とも言えます。しかし、日本で生活してそれをあまり実感できません。それは他の国を見ていないからだと反論がきそうですが、そうではありません。
日本の対外純資産保有量や経常収支が黒字だということと、私たちの生活が良くなることは必ずしもイコールではないのです。

貿易黒字

経常収支が黒字だということは、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の合計が黒字だということです。今回は、この中で貿易収支について注目します。2011年から2015年まで赤字の時期でしたが、それ以外の時期で日本の貿易収支は黒字です。日本企業は外国にモノを多く輸出しているのです。
つまり、輸出企業は外需を求めているのです。内需が十分にあるときに外需を求めるのはいいでしょう。しかし、内需が減少している状態で外需を求めては自国の経済の縮小につながる可能性すらあります。

内需がボロボロ

輸出企業が得た外貨が国内の投資に回るのであれば問題はありません。
しかし、今は現地に工場などの資本を投資することがほとんどです。
また、日本はデフレのため投資をしてもリターンが望めません。
つまり、輸出企業が稼いだ外貨は日本国内には還元されません。

日本国内の需要を増やすことにおいて、外貨はあまり関係ありません。
国内の需要を増やすには、自国通貨が一番関係します。
デフレ下では内需を増やさなくではなりません。国債で書いたように、内需を増やすためには政府が積極財政を行う必要があります。
高度経済成長期は貿易によって日本は成長したというイメージを持っている人が多いと思います。しかし、実際は高度経済成長期は内需によって経済の成長がなされました。

内需拡大を怠った

日本は失われた20年と言われるように、デフレが長く続いています。
その間、日本では対外純資産を積み立てることを必死でやってきました。
しかし、日本はデフレを脱却できていません。なぜなら、内需を拡大することを怠ったからです。
日本国内の内需が伸びないのは少子高齢化や社会が成熟したからだと言われます。しかし、インフラは老朽化により、再整備が必要となっています。医療や介護の分野においては、むしろ需要は伸びています。また、若者の何々離れと言っていますが単純にデフレで賃金が安いから起きているのです。つまり、政府が積極財政を行えばいくらでも内需は拡大することが出来るのです。

結論

この様に、経常収支が黒字だということと国内経済が良い状態であるというのはイコールではないのです。
事実、貿易が好調だった2000年代にも、日本は経済成長していません。
しかし、今日本では自由貿易を拡大して外国資本に頼ろうとしています。
経常収支を赤字にし続けろというわけではありませんが、これからの経済政策は外需以上に内需についてもっと考える必要があるのです。
いい加減、日本は人口が増えないから経済成長するには外需しかないのだというバカげた理論はやめるべきです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする