税金と油田

先日、都構想の街頭演説で松井市長が、
「日本は油田が無いから税金を集め、
政策を行わなくてはならない」
と発言していました。
チャンチャラおかしい話なのですが、
あえて何がおかしいか説明します。

話の流れ

今回のこの話は都構想とは関係ないのですが、
なぜこんな話をしていたかと言いますと、
MMTを批判するためです。
彼の頭の中はおそらくこうなっています。
MMTを批判するためにまず、
無税国家にしていいのかと反論したいのでしょう。
その後、彼の頭の中でMMT側から、
産油国は無税国家だと、
反論が来ることを予想したのでしょう。
その反論として、
油田があるから無税が可能だ、
というのが彼の思考であり、
今回の話の概要です。

MMTは徴税を否定していない

まず、MMT側はそんなチンケな反論はしません。
税金は、ビルトインスタビライザーや、
貨幣価値の担保、国家理念の体現など、
必要なものだとして、反論します。
無税国家の否定に、産油国など出しません。

サウジアラビアと徴税貨幣論

先に出た、貨幣価値の担保ですが、
産油国が無税なら、
その説はおかしいと反論がきます。
では産油国は、
本当に無税が成立していたのでしょうか?
答えはNOです。
産油国の場合、石油で稼いだ外貨から、
生活必需品などを輸入します。
その生活必需品を購入の際、
自国通貨を使用させます。
これにより、形を変えた徴税が行われます。
そもそも、MMTは貨幣価値の担保、
所謂、徴税貨幣論を、
通貨における十分条件としています。
MMT側は無税国家というものも、
あり得ると考えています。

油田と税金

油田が油田たらしめるには

「油田があるから、政策を税金を取らずに行える」
と松井氏は発言していますが、
これも非常におかしな話です。
まず、油田が国内にあるだけでは、
意味がありません。
油田から石油を掘削することで、
初めて油田が意味を成します。
つまり、石油を生産しなければなりません。
つまり、産油国の経済力は油田ではなく、
石油を供給する能力なのです。

日本と何が違うの?

日本には、石油を供給する能力はありません。
しかし、工業製品など供給する能力はあります。
産油国は石油、日本は工業製品、
ここにどんな差があるのでしょう?
何もないのです。

大いなる矛盾

もし仮に、日本は油田が無いから、
税金が必要が正しいとします。
その場合、産油国は石油掘削を行う際、
税金を取って行わなくてはなりません。
もし逆に、産油国は油田があるから、
税金がいらないが正しいとすれば、
日本は工業製品を生産できるから、
税金はいらないとなってしまいます。
つまり、この話は大きな矛盾をはらんでいるのです。

最後に

最後になりますが、
日本は対外純資産世界一位です。
そのため、毎年かなりの所得収支が、
日本には入っていきます。
産油国の無税の話ははある意味、
日本での減税を後押ししていることを、
彼は気付いているのでしょうか?

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