国際金融のトリレンマ

国際金融のトリレンマとは、ロバート・マンデルによって提唱された理論です。
具体的な内容としては、国際金融政策において3つの政策を同時に行えないというものです。
今回は、この国際金融のトリレンマについて考察します。

トリレンマの3要素

同時に行うことのできない3つの政策とは「自由な資本の移動」「固定相場制」「独立した金融政策」の3つを指します。実際の国を見てみると、この3つを同時に達成できている国はありません。

日本では

具体的に、日本では「自由な資本の移動」と「独立した金融政策」が行われています。日本は「変動相場制」を採用しているため、「固定相場制」ではありません。ニクソンショック以前の日本では「独立した金融政策」「固定相場制」の二つが行われていました。そのため「自由な資本の移動」が行われていませんでした。この時代は、貿易赤字を積みすぎた場合、輸入量を減らさなくてはならなくなります。この時代は、石油を輸入するために日本は外貨を稼がなくてはならない時代でした。しかし、今は「変動相場制」に変えたことで、「資本の移動の自由」が達成しているため、その必要はないのです。詳しくは日本は外貨を稼がなくてはならないを参照ください。

ヨーロッパでは

次はユーロ諸国について考えます。イギリスの様に自国通貨を持たないで、ユーロを使っている国は「自由な資本の移動」と「固定相場制」が採用されています。そのため「独立した金融政策」は行えてはいません。ギリシャがデフォルトを起こしたのは「独立した金融政策」を持たなかったためです。日本がギリシャと同じ様に語られるのはおかしな話なのです。
イギリスの場合は、日本と同じです。ポンドは「変動相場制」を採用しているため、ユーロとは違います。ここで、ユーロも「変動相場制」ではないのかと疑問を持つかもしれませんが、多国間でのお金の相場が固定されているという意味なので、ドイツのユーロとギリシャのユーロが同じという意味でユーロ自体が「固定相場制」であると言えるのです。つまり、自国通貨を持たない=「固定相場制」であると言えるのです。

MMTから見て

ここで、MMTを絡めて考えます。MMTを行うことのできる国は「独立した金融政策」を行える国でなくてはなりません。そうなると、ユーロ加盟国は全滅です。また「固定相場制」でもMMTは行えません。なぜなら、「固定相場制」の下では、財政赤字の拡大は経常収支に制約を受けるからです。
今の世界でMMTを行える国は限られてきます。日本は幸運にもMMTを実現することが出来ます。なので、日本は独自に国債を発行して国内の景気を良くしなくてはならないのです。

結論

国際金融のトリレンマは、グローバルな金融について本質を突いています。
現在のなんでも国境を越えろ、グローバルだという考えには、国際金融のトリレンマの様な、何かを実現させるためには何かを犠牲にしなくてはならないという考えがないのでしょう。
何でもかんでもいいとこどりではうまくいかないのです。

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