今の日本で出回っている現金通貨は硬貨と紙幣があります。この2は似ているようで全く違うものです。では何が違うのでしょうか。
発行元の違い
まず作られている場所が違います。硬貨は「造幣局」が作っています。紙幣は「国立印刷局」が作っています。
次に発行元が違います。硬貨は「政府」が発行していますが、紙幣は日本銀行が発行しています。つまり硬貨は公共物ですが、紙幣は民間の所有物です。なので硬貨を破損させれば犯罪となりますが、紙幣は破損させても犯罪にはなりません。もちろん、他人が所有している紙幣を破損させれば犯罪になります。しかし、倫理的に問題があるので紙幣を破損させる行為を行うことはお勧めしません。
負債と債権
そして発行元のバランスシート上での記載が違います。紙幣は日銀の負債に計上されますが、硬貨は政府の資産に計上されます。ちなみに額面の金額と製造コストの差をバランスシート上に記載しています。この額面の金額と製造コストの差をシニョリッジと言います。
中央銀行でも書きましたが、紙幣は誰にも返さなくてもいい借金です。硬貨は誰の負債でもない債権です。誰の負債でもない債権と言われても不思議でない人も多いと思いますがお金とは(時間を超えた取引)でお金とは負債であるの記事を読んだらこれがすごく不思議に思えます。これは通貨発行権を持つ政府にのみ認められた権利である。見ようによっては、硬貨は商品ななかもしれません。
流通過程
流通の過程ではどちらも市中銀行が日銀から引き出して流通します。なので硬貨は政府から日銀に渡されます。その際、政府の日銀当座預金は増えます。
つまり、お金をいくら刷っても貸し出しや公共投資を行わない限りは、世の中に現金通貨が出回ることはないのです。なので、お金をいっぱい刷ればデフレが解決するというのは完全な迷信です。
こう話すとジンバブエの話が出てきますが、ジンバブエはそもそも供給能力が低下してインフレの状態でした。その状況で中央銀行がお金を刷り、強制的な物資の売却を行うことでインフレは加速しました。その後、モノを安く売ってはいけないと法律で定めたため企業は利益を出せずに倒産してさらに供給能力が減ってインフレが加速してハイパーインフレが起きました。つまり、通貨を大量に発行したことは一つの過程に過ぎないのです。
このジンバブエの話は、インフレ下でデフレ対策を行うという行為で馬鹿にするかもしれませんが、日本もデフレ下でインフレ対策を行っているため、決してジンバブエを馬鹿にはできません。
結論
この様に硬貨と紙幣は全く性質が違います。この2つはそもそもモデルが違います。紙幣は銀行の始まりで書きたゴールドスミス・ノートです。それに対して硬貨は中世ヨーロッパの金貨です。なので硬貨はこのサイトの説明ではお金というよりもモノとしての性質が強く、価値に関しては宗教の意味合いが強いです。