インフレとデフレ

インフレつまりインフレーションは物価の上昇であり、デフレーションは物価の下落です。辞書などで調べたらおよそこの様な答えが返ってくるでしょう。
これは確かに正しいですが、ではなぜ物価の上下が起きるのでしょうか。
ここの本質を理解しなければ経済の流れを見誤ることとなります。
この記事では、インフレとデフレについて説明していきます。

インフレとデフレは需給バランスによって変わります。
需要が供給量よりも多い状態でインフレとなり、供給量が需要よりも大きい状態でデフレとなります。
需要が供給量よりも多ければ値段は上がります。逆に供給量が需要よりも多ければ値段は下がります。

需要が供給量より多い時の差をインフレギャップといい、その逆をデフレギャップといいます。
経済成長はこのインフレギャップを埋める過程で起きます。
人々がモノを欲しがっているが、生産が追い付かないとき、その企業は作れば売れるので儲けています。この企業を仮にA社とします。生産力を上げればさらに儲けることが出来るのでA社はB社に新たな設備を作るよう依頼しました。そしてB社は今までよりも多く作れる機械を開発してA社に納入しました。そしてA社はその機械を使い、今までよりも多くのモノを売りました。

ここまでの話で分かることは、需要によって技術が発展したということです。はじめに人々がモノを欲しがらなければA社は生産性を上げようとは思いません。そしたらB社に設備の依頼もしません。そうなれば新しい機械もできませんでした。

さっきの話を続けると、A社は前よりも売り上げが上がったので従業員の給料が上がりました。そしてB社も新たな機械の開発により業績が上がり従業員の給料が上がりました。 つまり、A社が儲かったことでB社にも設備開発という需要が生まれるという仕組みです。 B社の開発の過程で他の会社にも需要が生まれたことでしょう。

この話から、インフレギャップが存在しているときに、技術が上がり、所得も上がるのです。もちろんインフレ下なので、額面の給与の上昇しただけ前よりもモノを買うことはできません。ちなみにこの話での額面の給与を名目所得といい、実際にモノを買うことのできる量を実質所得と言います。つまり実質所得の上昇率は名目所得の上昇率よりも小さいということです。
最近の日本では値下げは見ても値上げを見ることはあまりありません。しかし、経済成長しているときは値上げはされるものです。日本人が値上げに良い印象を持たないのは、デフレが長く続きすぎたせいでしょう。

さらにこの話ではA社は人手不足ということです。人手が足りていないために設備投資という手段を使い生産性を上げたのです。もしここで人員を導入して生産量を上げた場合、一人あたりの生産量は変わらないため給料は増えません。またB社も機械の開発を行いません。つまり技術が発展して景気が良くなるためには人手不足でなくてはいけないのです。

またインフレによる不景気とデフレによる不景気では本質が異なります。
インフレは供給が不足しているので、食べ物がないので飢えます。
デフレは需要が不足しているので、食べ物が多いので飢えます。
今の話からデフレがいかにおかしいか分かります。

以上より、インフレ下でなくては経済成長は起きません。よくデフレの方が良いという人がいますが、それは物価しか見ていません。また日本はデフレだが技術の向上はしているという人もいます。それは海外がインフレだからです。世界中でデフレが長く続いているのは日本だけです。将来デフレでも経済発展していくシステムができるかもしれませんが、資本主義の下ではインフレでなくては、経済成長はありえません。ですが、個人のミクロな視点だと安い方が良いと考えてしまうのが難しいところです。

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