経済と経営

経営とは企業などを運営することです。経済はもともと、経世済民の略で民を救って世を収めるという意味です。しかし最近では、社会全体のモノやお金の流れなどを指します。ここでは後者とします。経営に比べて経済のほうが俯瞰的に社会を眺めています。この二者の視点の違いが社会に大きな影響を及ぼしていると思います。

ミクロの視点では正しいが、それが合わさりマクロの視点で見たときに正しくないことを経済用語で合成の誤謬といいます。

例えば貯蓄です。貯蓄は個人的には正しい行動です。しかし全員が貯蓄をすればその分だけ消費が落ちます。その結果給与が下がります。そうなれば貯蓄の前後で豊かさは変わらないのです。それどころかこのまま貯蓄を皆がやり続ければ破産者が出てきて前よりも悪い状態になります。
この貯蓄に関して、私はやるべきではないとは思いませんが、やりすぎは良くないと思います。

ここで経済と経営に視点を向けると、経営者にとったら会社の内部留保を増やすのはいいことだが、経済の視点では多すぎると逆に景気が悪化することになるのです。なので日本の景気を回復させるために内部留保を減らせという声があります。しかし、ことはそう単純ではありません。
今の日本はデフレです。デフレ下では物も売れないし、投資をしてもリターンが見込めないのでできません。企業は利益を出さなくてはいけない以上デフレ下では貯蓄をするほかありません。
なので内部留保についてはあまり責めることはできません。

次に労働者の話です。経営の視点で見たときに労働者はコストとなります。しかし経済の視点で見れば労働者は消費者なのです。つまり経営の視点では労働者の賃金は低い方が良いのですが、経済の視点では高い方が良いのです。
今の日本ではあちこちで賃下げが行われています。では、法律で最低賃金を上げれば良いのでしょうか?そう簡単でもないのです。
もし、法律で無理やり最低賃金を上げてしまうと今までギリギリで経営していた企業が倒産してしまいます。そうなってしまえば本末転倒です。最低賃金の上昇は、経済成長とセットでなくてはいけません。

ここまで書いてきて私の言いたいことは企業に努力をさせて景気を良くするのには限界があるということです。途中で貯蓄の話をしましたが、個人や企業が貯蓄することは悪いとは思いません。しかし貯蓄をする必要のない経済主体が存在します。それは政府です。お金とは(時間を超えた取引)で書きましたがお金とは負債です。今の仕組みでは誰かが借金をしなくてはお金は発生しません。なのでデフレ下では政府が借金をして積極財政を行わなくてはならないのです。また政府は労働者をコストとみる必要もないので、公務員の給与を下げてはいけないのです。
今の日本では、政府がお金を使うと無駄遣いはやめろと叩きます。
最近では、無駄をなくそうと主張する政治家が人気になったりしています。
しかし、政府が無駄遣いした分私たちの財産となるのです。
政府だけが悪いのではなく、私たち国民が経済を理解していないことも今のデフレの原因でしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする