自己責任論

ここ数年、何かと自己責任という言葉をよく聞きます。
失敗したら自己責任、うまくいかないのは自己責任、
といった具合にです。
そして、この自己責任という言葉に対して、
誰も疑問を持ちません。
この自己責任という言葉は、本当に正しいのでしょうか?

失敗したのは誰のせい?

事業に失敗して、明日にでも首を括ろうとしている人がいるとします。
さて、その人が失敗したのは誰のせいなのでしょう?
多くの人は、その人の努力が足りないと答えるでしょう。
もしかしたら、その要素があるのかもしれませんが、
多くの場合が、環境などを含めた運の問題です。
なぜそう言い切れるかと言えば、
失敗は誰でもする可能性があるからです。
誰でもしうる失敗をした時、
それをあなたの自己責任だと言って切り捨てるのは、
いささか乱暴ではないでしょうか?
自己責任と言っている人は、
自分は失敗しないと思い込んでいるだけです。

なぜ、自己責任が流行ったのか?

助けてくれる人

失敗した時に助けてくれる人は誰でしょう?
身内や友人を想像するでしょう。
そんな人がいない場合も、今の社会なら自己責任なのでしょうが。
そんな身内や友人には、助けられる限度があります。
しかし、多くの人を助けることのできる存在があります。
そして、それは人を助けることを目的にしています。
その名前を政府と言います。

政府は金を出したくない

いざという時に助けてくれる存在が、政府です。
しかし、自己責任という言葉があれば、
人々は政府を頼ることができなくなります。
ここに隠されているのが、政府はお金を出したくないです。
自己責任論は、緊縮財政から生まれた言葉なのです。

グローバリスト

グローバリズムは、政府の関与嫌います。
そのため、政府はいらない、もしくは関与を小さくします。
つまりは「小さな政府」です。
この自己責任論によって、得をしているのはグローバリストです。

俯瞰してみた時

社会を俯瞰してみた時、GDPは伸び悩み、実質賃金は減り、
格差が拡大している今の日本において、
自分の生活が苦しいのは、自分だけの責任なのでしょうか?
そんなことはありません。
どう考えても、社会全体で大きな誤謬があるのは確かです。
「社会のせいにするな、政治のせいにするな」
と多くの人が言いますが、社会や政治が悪いのも事実です。

結論

自己責任は、グローバリストが利する言葉です。
国民は政府を頼って良いのです。
社会や政治のせいにしても良いのです。
しかし、社会や政治の何が問題なのかを、
正確に理解しなくてはなりません。
的外れな社会批判や政治批判が、
自己責任論を生み出したというのも、
事実だからです。

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