このサイトでは、度々ルサンチマンという言葉が出てきます。
今回は、このルサンチマンについて掘り下げます。
今の政治とルサンチマン
ルサンチマンとは恨みの念です。ニーチェはこれを弱者が強者に対して仕返しをを欲した鬱血した心だとしています。最近の政治では、ルサンチマンが多く利用されています。例えば、郵政公社は既得権益の塊だと言い民営化を行いました。この郵政民営化の際に、推進派は人々を郵政公社に対するルサンチマンを煽りました。ここでは、一般の国民が弱者で郵政公社が強者です。しかし、郵政公社は強者ではありません。本当の強者は郵政民営化を推進していた人たちです。他には、大阪維新が大阪で行ってきた政策もほとんどがそうです。大阪には公務員が多すぎるとして「公務員天国」や「市役所はシロアリ」といった強い言葉で罵倒して公務員に対するルサンチマンを煽りました。その結果、行政の仕事の一部を派遣社員にしました。
ルサンチマンに火がつく日本人
なぜ、人々のルサンチマンは、こうも簡単に火が付くのでしょう?
それは、デフレだからです。ゼロサムゲームでも説明していますが、デフレ下では限られたパイの取り合いが起こります。そんな中では、働いても生活が良くならないという状態が起こります。そうなると、人々の心は荒んできます。そんな状況で、既得権益で不当に利益を出している人がいると聞けば、それに対して人々は不満を抱きます。そうなれば、既得権益と言われたものは、民意によって解体されてしまいます。これが、人々がルサンチマンに火が付きやすい理由です。
このルサンチマンを煽っているのは誰なのでしょう?
それは、レントシーカーと呼ばれる人々です。レントシーカーとは、民間の人間で、政界に対して自分の利益が出るように働きかける人の事です。このレントシーカーによって働きかけられた政治家が、規制緩和を行います。その際に、人々のコンセンサスを得る必要があります。そのためには、規制されているものに対してルサンチマンを煽ります。すると人々は、規制は壊すべきだとなります。そうなれば、国民の合意の上で規制を緩和することが出来ます。その際に邪魔となっていた規制に対して、既得権益という言葉を使いルサンチマンを煽るのです。
上の二つも説明は後半同じことが書かれています。つまり、規制を壊したいレントシーカーと心が荒んでルサンチマンを煽られやすい人々は相性がいいのです。明らかに自分たちが損をするような改革を、国民の大多数が支持しています。一見するとおかしな状況ですが、国民の心を悪用したレントシーカーの巧みな戦略なのです。
結論
現在行われている構造改革のほとんどがこの構造をしています。
既得権益という言葉は、人々のルサンチマンを煽るのには便利な言葉なのです。この説明は既得権益は悪なのかでも説明しています。
政治を決める際に、日本国民は感情で決めています。そのため、ルサンチマンを煽られるのです。日本では政治の話はタブーだとされています。それは、日本人が論理的な議論ではなく、感情論で政治を語るためそうなるのです。国民はもっと感情ではなく論理に従い政治を決める必要があります。