JGPとはについては、以前JGPで説明しています。
今回は、JGPの問題点を挙げます。
雇用拡大
まず、「デフレ下で政府が失業者を雇用をし、完全雇用を目指す」から考えます。これ自体は、非常に良い考えでしょう。デフレは、需要が不足している状態であるため、デフレ対策として需要を創出するというのは、経済政策の王道です。具体的には、政府が公共事業を依頼することで、民間に対する需要が生まれます。そして、手続きを行うために、公務員もまた、多く必要となります。なので、政府自体が雇用を拡大することは、非常に理にかなっていると言えるます。
この部分は、大きな問題は無いでしょう。
インフレ下では機能し難い
次は、インフレ下で「政府の雇用者が、民間に選ばれ、民間に雇われる」を考えます。これは、非常に難しいでしょう。民間で人手不足となる職種は、技術が必要となるものが多いです。そのため、必要な技術を持った人材を確保できないことが起きます。そうなってしまうと、民間側も若い人材を求めることとなります。雇用に関して、政府が介入を行うこと自体は良いのですが、ミスマッチが起こることは、十分に考えられます。
人手不足の場合は、政府は生産性の向上のための投資に対して、補助を行うことも必要だと付け加えます。
今の日本から考えるJGP
では、現在の日本で、JGPは必要なのでしょうか?
日本は、デフレであるため、必要だと感じます。私自身も、公共投資が必要だと述べてきたので、必要だと感じています。しかし、今の日本では慎重にお行う必要があります。
現在の日本は、デフレでありながら人手不足です。有効求人倍率も非常に高く、雇用面では困っていません。そして、その人手不足を、移民によって解決しようとしています。JGPによって雇用を拡大すれば、政府が移民を増やす口実が出来ます。また、供給面でも、政府が公共投資を減らしたため、公共事業を行う能力は、非常に下がりました。公共事業を拡大するとしても、一気に拡大はできません。これが、今の日本の実情です。
今後、イノベーションにより人手不足が緩和され、その後のデフレのためにはJGPは必要でしょう。しかし、今の日本では非常に困難です。
現在の日本でJGPを実現し難いのは、派遣労働にあります。現在の、デフレによる格差の問題は、派遣労働が原因です。派遣労働を行うことで、安く人手を確保できます。また、正規と非正規で所得の格差が生まれます。また、安い労働力ばかりを使い続けたとき、人を使い捨てにするので、労働力不足も起きます。なので、日本でJGPを行うには、派遣労働の規制も同時に行う必要があります。
結論
JGPの考え自体は非常にいいものではあります。しかし、使い方を間違えれば、しっぺ返しを食らう代物でもあります。また、MMTという理論において、JGPは政策面として、少し踏み込みすぎな感じがします。JGPは、MMTを唱えている人でも大きく議論する内容なので、内部分裂の原因になるとも思います。
いずれにせよ、JGPについては、大きく議論の余地を残し、現状の日本では、手放しでは使えないというのが現実でしょう。