ケインズと余暇

このブログでは、MMTについて説明してきました。
MMTはケインズ経済学の延長にあります。
ケインズ経済学は、不況時には政府が財政拡大を行い、経済を刺激すべきだという考え方です。MMTとの違いとしては、最終的に政府は、負債を返す必要があるかどうかという点です。
今回は、ケインズが残した言葉の「孫の世代は、余暇をどの様に過ごすかについて悩むようになる」という言葉について考察します。

ケインズはなぜ予言を外したのか

ケインズの言う、孫の世代とは、まさに今の事です。実際ケインズの予言した通りになったでしょうか。もちろん、答えはNOです。ではなぜ、ケインズは未来の予測を外したのでしょう。予言は外れるものだと言われたらそれまでですが、ここではあえて考えます。

第二次世界大戦後、世界はグローバリズムを止め、保護主義に向かいました。その際、政府は経済に対して支出を行っていました。第二次世界大戦から、30年ほどはケインズ経済学のもと経済は動いていました。この時代は、所得の格差はかなり是正され、経済成長も順調に起こっていました。
1980年頃からは、新自由主義が台頭してきました。新自由主義の下では、格差は広がり、経済成長も保護主義の時代と比べ小さくなりました。
この流れを見たとき、ケインズの予測が外れたのは、新自由主義が大きく関わっていると考えられます。

新自由主義と格差

余暇をどの様に過ごすか悩むとは、乱暴に言えば働かなくてもよい時代と言えます。ですが、ケインズ経済学では、不況時に政府が財政出動を行うことで雇用を拡大すると考えているため、一見矛盾しています。ですが、ケインズが言葉を正確に言うと、経済が発展し、富が全ての人に行き渡れば、人々は週に15時間程度の労働で良くなるということです。
つまり、人々が余暇を多く持つためには、格差が是正されなくてはならないのです。事実、ケインズ経済学の下では格差は是正されていました。

ケインズが、予言を外した理由は、新自由主義の登場による格差拡大です。
現状、科学技術は発展しているため、生きていくだけならば、今ほど働く必要はありません。しかし、富を持つものが、富を独占しているため、富を持たない労働者は、昔以上に働かなくてはならなくなりました。

結論

では、今の世界で、ケインズが予言した世界は実現するのでしょうか。
答えはNOです。物事は一足飛びには進みません。ですが、世界でMMTについての理解が広まり、実際に経済政策が行われるならば、私たちの孫の世代は、余暇をどう過ごすかについて悩む時代が来るでしょう。

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