株式投資と銀行融資

以前分離課税という記事で、金融所得の税率は20%だと説明しました。この様な税制を取ったのは、株式投資を積極的に行わせることが目的です。株式投資を行うことを政府が推奨した理由は、銀行からの融資は時代遅れだと考えたからです。実は、この考えはデフレの元です。今回は株式投資と分離課税から、株式投資で資金を調達を推進するとどうなるかを説明します。

役員の給与形態

銀行融資との比較の前に、役員報酬と比較します。会社の重役が役員報酬を0円にして、株式の配当で所得を得ていたとします。役員報酬なら税率は45%ですが、配当金なら20%となります。こうなっては、所得税の累進性によるビルトインスタビライザーがうまく働きません。これでは、富の再分配や税制による景気のコントロールが効かず、デフレが深刻化して格差が広がる一方です。

銀行と株主

株式投資と銀行融資について比較します。
株式投資は、右から左に資金が動いているだけなので、全体のパイは増えていません。ですが、銀行からの融資では、信用創造が行われ全体のパイが増えます。株式も、株価が上がった場合、日本の純資産は増えますが、それで利益を上げているのはごく一部です。また、金融市場で儲けた資金は、実体経済に流れてなくては、GDPは上昇しません。

次に、出資者に対する企業の行動ですが、株式投資の場合株主は利益を高め、より多くの配当金を求めます。一方、銀行融資の場合、一定の利息は求めますが、必要以上返済を求めません。そのため、株式投資ので資金調達した場合、従業員の給与を減らすなどの方法で利益を上がようとします。株式で資金を集める環境では労働者は損をして、株主だけが得をすることとなってしまいます。銀行融資ではなく株式投資で資金を集める方法だと、パイが増えずデフレ化し、労働者と株主の間で大きく格差が広がることとなります。

結論

以上が、株式投資で資金を集める環境がもたらす結果です。
銀行融資には、銀行の自己資本率に応じで貸し出せ金額が制限されるBIS規制もしくばバーゼル合意というものがあります。そのため、お金を貸せないという意見もありますが、それを考慮しても今の銀行融資が少ないことは事実です。
株式投資も結構ですが、銀行融資という基本を忘れては、経済は良くなりません。

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