アメリカとベンチャー企業

「アメリカはベンチャー企業を育てている」というイメージを持っている人は多いのではないのでしょうか?
「日本はベンチャー企業を育てないから世界では勝てない」と思っている人は多いのではないのでしょうか?
どちらも間違えた考えです。
今回はこの間違えた常識を覆します。

アメリカの実情

アメリカがベンチャー企業を育てているという話ですが、1980年からアメリカでの開業率は低下しています。なので、決してアメリカはベンチャー企業を育てている国ではありません。それでもアメリカで、IT革命により若い起業家が現れたという意見もあります。ですが、経済が成長しているときはベンチャー企業が多く現れ、成長していないときは現れません。なので、ベンチャー企業を育てたから優秀な起業家が出たのではなく、景気がいいから優秀な起業家が現れたのです。事実、ITバブル崩壊後は企業率は低下しました。
現在アメリカに存在するベンチャー企業のほとんどは、ITの様なハイテク産業を扱う企業ではなく、建設や小売りといったごく普通の昔からある事業なのです。

ベンチャーと国際競争力

さて、日本はベンチャー企業を育てないから世界で勝てないという話はどうでしょう。先ほどの話からベンチャー企業と国際競争力は関係ありません。むしろ、日本の様な企業体質の方が世界では通用します。
まず、日本の技術や経済が伸びていた時期こそが国際競争力を上げる良いやり方だったのです。そのやり方は日本的経営と呼ばれています。日本的経営の特徴として「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」といった三種の神器と呼ばれるものです。他には集団主義、参加的意思決定、系列間取引といった様々な要素があります。
バブル崩壊後はこういった日本的経営は批判されるようになり、解体されていきました。その結果日本は20年間ずっとデフレです。バブルの崩壊は日本的経営は関係ありません。金融政策の失敗が原因です。バブル崩壊で詳しく説明しています。日本型経営が100%正しいわけではないので、改良していくことは正しいことでしょう。ですが、全てを否定して全く違うものにして、外国を真似したところでいい結果が得られるわけがありません。
日本が世界で勝てないのはベンチャー企業を育てないからではなく、日本的経営を壊してしまったからです。

結論

以上が日本で起きているベンチャー企業に対する誤解です。
ベンチャー企業自体を否定するつもりはありません。むしろ、そういった企業を応援したいとすら私は考えています。ですが、マクロで見た時に日本的経営を取り戻すことが、今は重要であると考えます。
外国の真似をすればよくなるという、お人好しな考えを変えなくては日本の良いところが無くなり、日本は日本で無くなってしまいます。

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