銀行が損しない仕組み

銀行が貸し出しを行う時、銀行にある預金額や日銀当座預金には、全く制約されません。貸し出しの時に制約されるのは、借り手の返済能力です。これについては、お金とは(信用創造)で詳しく説明しています。とはいえ、借り手が返済できないリスクは存在します。今回は、このリスクを銀行がいかに回避しているのかを説明します。

債券の小口化

昔の銀行は、借り手の返済能力が低いと判断した場合、貸し出しを行いませんでした。もし、借り手がデフォルトした場合、その債務を銀行が負うことになるからです。ですが、銀行の業務はあくまで金貸しなので、貸し出しを行わなくては利益は出ません。そこで、銀行は債権を小口に分割して、投資家に販売しました。そうすることで、実質債権の回収は終わります。ですが、普通に売りつけても誰も買おうとはしません。そこで、小口化した債権の金利を銀行預金よりも高く設定します。そうすることで、その債権を欲しがる投資家は現れます。もし、借り手が破産しても、銀行は損をせず、投資家が損をします。これが、銀行が損をしない仕組みです。

経済に与えた影響

この仕組みを利用して銀行は、多くの人にお金を貸し付けました。その結果、返済能力のない人は破産して、失業者となります。銀行はその様ことを多くの人に行っていたため、失業者が市場に溢れます。すると、連鎖的に他の企業でも景気が悪くなります。そして、返済不能なローンが世の中に多くあると知ると、銀行が倒産するという噂が流れます。そうなると預金者は銀行から現金を引き出そうとします。ですが、銀行にはそのような状況に対応できる現金は存在しません。そのため、銀行は破綻します。つまり、銀行がむやみに貸し出しを行ったことで、経済は破綻するのです。

銀行がお金を貸すということは、市場に通貨を発行することと同義です。そのため、銀行が多くの人にお金を貸したことで、市場の資金はジャブジャブになりました。そのため、投資家は何かモノに投資をします。そして、特定のモノの価格が上がります。そのモノの価格が上がったことで、多くの人が価値が上がったと判断してそれを買います。そのモノを買う時には借金をする人まで現れます。そうなると市場の資金は増えまたモノの価格は上がります。この現象をバブルと言います。価値は上がっていないのに価格が上がっているためいつかは終わりがきます。そのため、バブルがはじけると借金漬けの人が多く現れます。

結論

以上が、銀行が損をしない仕組みからみる市場の仕組みです。
リーマンショックはサブプライムローンが大きな理由です。サブプライムローンは、まんまこの仕組みです。ですが、リーマンショックは、貿易不均衡も原因の一つです。
この様に市場に任せると暴走し、破綻します。その後、救出するのは国家です。国家と市場は切っても切り離せません。このまま「小さな政府」を続けたとき、次の経済破綻が起きたとき、乗り切ることは出来ないでしょう。

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