労働市場

労働市場が誕生したのは、人類史においてかなり最近の出来事です。
今回は、労働市場の発生から現代の経済について考察します。

農業革命

労働市場は、15世紀ごろのイギリスの囲い込みが始りだとされています。
労働市場が始まる以前は、農奴が領主に仕えていました。農奴は、何代にもわたり同じ土地の領主に仕えてきました。しかし、15世紀半ばになると状況が変わります。イギリスの毛織物の需要が高まり、国民的産業にまで成長しました。そのため、原材料となる羊毛の需要も高まりました。羊毛の需要が高まったことで、領主達は農奴を追い出し羊を飼うようになりました。これが「囲い込み」と言われるものです。また、16世紀にトマス・モアはこの状況を「羊が人間を食っている」と表現しています。その後、土地を追い出され仕事も失った農奴たちは、自らを売り出す必要があります。これが、労働市場の始りです。

産業革命

囲い込みにより労働市場が始まり、その後はどうなったのでしょう。
工場が出来るまでは非常に悲惨な状況でした。工場が出来る以前は雇用が少なかったからです。工場が出来る以前の労働は、領主が農奴だった人に羊の世話をさせるものでした。農奴だった人の中でも雇用者と被雇用者がありました。領主に土地を借り、その土地で別の元農奴を雇い羊毛の生産をしていました。今でいう、資産家と経営者と被雇用者の関係です。18世紀にノーフォーク農法に代表される高度集約農法により、農業革命が起きました。ここで、第二次囲い込みが起きます。今回の囲い込みは労働力を必要とし、前回の囲い込みほどの批判は受けませんでした。ただし、多くの農奴が賃労働者となったのは確かです。さらに、産業革命により、工場が出来てからは、機械を持つ資産家に富が集中することとなりました。囲い込みから格差はより拡大していきました。

結論

以上が労働市場の始りの歴史です。
現代でも、この構図は変わりません。なので、一部の人間に富が集中することは不思議なことではないのです。
現代では、自らを労働力として売りに出すことは当然だと考えられています。ですが、その行動は奴隷の成れの果てであることを忘れてはなりません。
現代の一部に富が集中するシステムが取られている限り、テクノロジーは格差をより一層拡大させることでしょう。

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