植民地時代の国内格差

西欧諸国が他の地域を植民地支配していた時代がありました。イギリスは大英帝国として君臨し、七つの海を支配したとまで言われていました。この時代のイギリスや他の西欧諸国の人々は恵まれていたと考える人がほとんどでしょう。ですが、そんなことはありません。正確には、庶民は非常に厳しい生活をしていました。今回は、植民地時代の西欧諸国の格差から、現在起きている格差拡大を考察します。

植民地時代はグローバル時代

植民地時代というのは、市場が非常に開けたグローバルな時代だといえます。この時代は、植民地から安い労働力が入ります。そのため、国内の労働者の賃金は安くなります。一方で企業は、より安い労働力を使うため、利益を多く上げることが出来ます。また、外国から安い労働力を入れるため、イノベーションも起き難い状況です。そのため、生産性の向上が起きず、一人当たりの所得は伸びないのです。なので、植民地時代の西欧諸国は、一部の金持ちが得をして、多くの庶民が損をしていた状態だったのです。

日本の現状

植民地時代の西欧の様子が分かったところで、今の日本と比較しましょう。まず、市場がグローバルかどうかという点ですが、日本に限らず、世界の市場は非常に開けています。現在でも、さらに市場を開こうとする流れは続いています。次に、庶民の所得に関してです。日本企業の工場は外国にあります。これは、より安い労働力を求めた結果です。そして、日本では一人当たりの所得は世界でも低くなってきています。そして、人手が足りないとして、移民を入れようとしています。これは、企業が安い労働力に感けて、イノベーションを起こさない実態です。なので、今の日本で格差が開くのも、今後格差が開き続けることも、歴史的に明らかなのです。

保護主義が恐慌を起こしたという誤解

よく、第二次世界大戦前の不景気は、世界各国が保護主義に走ったせいだという意見があります。具体的には、「暗黒の木曜日」を引き金に世界恐慌が始まりました。そこで、アメリカは自国産業を保護するため「ストリーム・ホーリー関税法」を成立させ、あらゆる輸入品に高い関税をかけました。そして、世界中が保護政策に走り、経済は悪化して、第二次世界大戦に突入したというシナリオです。これは、大きな間違いを多く含んでいます。まず、「暗黒の木曜日」は保護主義の下では起きていません。なので、保護主義が誤りではないのです。そして、世界恐慌から一早く抜け出した国は日本です。日本では、高橋是清財政のもとで、財政出動を行い、デフレ不景気を脱したのです。財政出動は保護主義ですあると言えます。つまり、通説と因果関係が真逆で「グローバリズムによって深刻なデフレ不景気が起こったため、経済を安定化させるために保護主義が台頭し、経済は少し回復した」のです。それでも、経済は回復しきれなくなり、最もデフレ解消のイベントである、戦争が起きたのです。つまり、第二次世界大戦が起きたのは、開けすぎた市場によって起きたデフレ不況が原因なのです。なので、このままグローバル化が進めば、大きな戦争になってしまうかもしれないのです。

AIと奴隷

最後に、AIの台頭により人々は労働から解放されると言っている人がいます。本当にそうだとすれば、植民地時代の西欧諸国の国民は、ほとんど働いていないことになります。なぜなら、海外の奴隷が働き、国民はその労働に頼れば働く必要はないからです。ですが、実際は逆で、この時代の国民は苦しんでいました。なので、このままだとAIの台頭によって起きることは、AIを使いこなせる者と、AIに使われる人との格差拡大です。これは、歴史から見ても明らかなのです。これに関してはスマホに支配されているでも指摘しています。

結論

以上が、植民地時代の西欧諸国からみる、現在の日本です。
内需が伸びないから、外需に頼ろうとすれば、格差は広がり、技術も向上しません。それどころか、戦争にまで発展しかねない危険な考え方なのです。第二次世界大戦前は、保護主義にした段階では手遅れでした。現在の日本は手遅れになる前に保護主義に切り替えなくては、取り返しのつかないことになってしまいます。無論、すでに取り返しのつかない事に、なっているのかもしれませんが。

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