スタグフレーション

このブログで何度もインフレでなくては経済成長はしないし、景気も良くならないと書いてきました。そして、今の日本では物価が上がってきています。なので、日本の景気は良くなってきているのかと思うかもしれません。しかし、そうではなさそうです。この、景気が悪い中、物価が上がる現象をスタグフレーションと言います。今回は、スタグフレーションについて説明します。

スタグフレーションとは

正常なインフレは需要が供給よりも多い状態です。この状態ならば物価の上昇も自然な流れでしょう。
スタグフレーションはデフレの状況で物価が上がります。つまり、需要が供給よりも少ない状態で物価が上がります。この状況だと、需要がさらに減ることは火を見るよりも明らかです。
これなら、デフレの方がましでしょう。
では、なぜ日本でこの様なことが起きているのでしょうか。

食品輸入

まず、食品などの原材料の高騰が原因です。
食品メーカーは原材料のほとんどを輸入に頼っているため、原材料の高騰はそのまま商品の高騰につながります。
日本国内の原材料の高騰ならば、そのお金は日本国内で還流します。不作などで作物が高騰したこと自体は問題はあるでしょう。しかし、輸入製品の高騰による物価上昇よりもはるかにダメージは少ないはずです。
「日本の農業を守るよりも輸入先の多様性の方が大切だ」と主張する人はこの事実をどう説明するのでしょう。

古紙

次に、アメリカとChinaの貿易摩擦による古紙の高騰です。
Chinaがアメリカの古紙に25%の関税を掛けました。これにより、Chinaでは古紙の値段が高騰しました。
そこで、Chinaは別の輸入先として日本を選びました。
日本の古紙を扱う企業はChinaに古紙を大量に輸出しました。そのため、日本では古紙の値段が上昇しました。
古紙の値段が上昇するということは、段ボールの値段が上昇するということです。
段ボールは、あらゆるものが流通する過程で必要となります。手元に水が届くまでで、あらゆるものが私たちの手元に届くまでに多くの過程を経ます。その流通過程で段ボールは必需品となります。なので、段ボールの値段があげればあらゆるモノの値段が上がるのは必然の帰結でしょう。
今回の問題で日本は外貨を稼ぎましたが、日本経済は悪くなりました。日本は外貨を稼げと言っている人は、こういった国内経済を考えない経済音痴でしょう。

輸送コスト

他には、輸送コストの上昇が挙げられます。
輸送コストの上昇には原油の高騰が挙げられます。これは、最初に挙げた原材料の高騰と同じでしょう。
輸送コストの上昇の原因は運送業の人手不足による賃金の上昇です。これ自体は非常にいいことです。人手不足なら賃金を上げ、生産性の向上を行うことは経済成長の王道です。

オイルショック

このスタグフレーションが一番最初に起きたのはオイルショックの時です。この時代はケインズ経済学に基づき政府が支出を行っていました。しかし、物価が大きく値上がりしたことから、政府の支出を減らさなくてはならないとなりました。そこから、世界の流れは新自由主義へと転換していきました。この時代にはスタグフレーションという考え方がなかったため、この様な結果となりましたが、以上の説明から、経済成長とは関係なく物価が上昇することはあるのです。

結論

日本の実質賃金は下落していると政府が発表しました。この状況で物価のみが上がると日本の景気はさらに落ち込みます。これに加えて消費税増税という強制的な物価上昇も行われます。これによって、日本経済に深刻なダメージを与えるのは言わずもがなです。
運送業者の賃金の上昇だけならば非常に良かったのですが、他の要因があまりにも強いため、このような事態となっています。
輸入先の物価上昇など現状、日本だけではどうしようもないこともあります。ですが、古紙の輸出や消費増税など止められることもあります。古紙に関しては民間なので、利益を最大化しなくてはならないので情状酌量の余地はあるでしょう。しかし、消費税増税は政府が行い、百害あって一利なしなのでこれは絶対にやめるべきでしょう。

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