ロックイン

ロックインとは経済用語の一つで、現在利用している製品やサービスを別のものに切り替えることが困難な状態のことをいいます。IT用語にも同様の言葉が存在します。
この様なことが起きる理由は、スイッチングコストが高いからです。
スイッチングコストとは、今あるものを破棄して別のものに切り替えるときに発生するお金や手間などのことです。

例を挙げると、スマホの機種を変える際に前と同じメーカーを選ぶことが多いです。
これは、前の機種からメーカーを変えると、データの引継ぎなどがスムーズに行うことができなかったり、操作が前と大きく変わってしまうことで手間がかかり、スイッチングコストが大きくなってしまうからです。
ロックインは初めから強く作用するものではありません。しかし、時間とともにロックインは強くなり、動けなくなってしまうのです。
スマホを使いたての頃はデータがあまり入っていないためメーカーを変えても手間はかかりませんが、長く使うことでデータが多く入るため、メーカーの変更に手間がかかります。
つまり、初めの一歩を踏ませることが出来れば、あとは惰性でやり続けさせることが可能ということです。

このロックインを企業は良く使います。モノやサービスの初期費用を安くして、多くの顧客を囲い込みます。そして、サービスの追加などを行い長く使わせることでロックインを強くして、他の企業への乗り換えさせなくします。
初期費用無料というのは消費者にとってありがたいものと感じますが、実はこのロックインを巧みに使った戦略なのです。

他にも、一度作ってしまった既成事実を覆せないのもこのロックインの効果でしょう。法律などを制定してしまえば、それが後に悪法であると分かったとしても、法律を変えるのに非常に苦労するはずです。この様に、後に他に良いことが出来ても、今まで通り行うことを経路依存性といいます。
日常生活で例えるなら、お隣さんに掃除を頼まれて掃除をしていた人がいたとします。はじめのころは感謝されていましたが、それが常態化してしまいその人が掃除することが当たり前だとお隣さんは感じ始めます。しまいにはその人がその人が掃除をしなければさぼっているといわれる始末です。そしてその人は掃除をし続けなくてはならなくなります。
つまり、安易に物事に手を付けてしまうと、後々それが自分の首を絞めてしまうこととなってしまいます。

日本語でいう庇を貸して母屋を取られるということです。
この様に様々な場面でロックイン効果は起きています。
企業が戦略として行うことを悪いとは言いません。
しかし、このロックイン効果によって取り返しのつかないことが結構起こっているのも事実です。
人間は何かを変えるときにはエネルギーが必要なのです。
今後このサイトではロックインされているものについて書いていきます。

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