仕事と労働は同じ意味なのでしょうか?
辞書で調べたところ、仕事はすべきことや職業と出てきます。それに対して労働は体や頭を使って働くことと出ます。この二つには、辞書による違いはほとんどないように感じます。しかし、この二つには明確な違いがあると考えます。
今回は、仕事と労働の違いを考察します。
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人間が行う3つの行動
ドイツの哲学者のハンナ・アーレントは人間の行動を3つに分類しています。その3つは「活動(action)」「仕事(work)」「労働(labor)」です。この3つを具体的に説明すると「活動」は、自発的に行う行動です。「仕事」は自身が心からやりたいと思い、誇りをもって行う行動です。「労働」は生きるために仕方がなくやっていることです。
この定義自体が、正しいかどうかという議論はあるかもしれません。ですが、私はこの考えには納得しています。今回は、この定義を基に話を続けます。
労働と仕事
現在、日本では仕事と労働の区別はありません。ですが、上記の定義に当てはめたとき、現在の日本について考えます。自分の職業に誇りを持っていなかったり、辞めたいと思っている人も多くいます。誇りを持っていないと言われると、反感を買いそうですが、そんな人にお聞きします。あなたはその職業は心からやりたくてやっていますか?そうだと答えられる人は、そこまで多くないのではないでしょうか?今の日本人の多くは、仕事ではなく労働をしているのです。
ここで誤解がありそうなので付け加えますが、私は労働をすることを批判していません。ただ、労働と仕事の区別をすべきなのです。
今の日本では、労働時間が問題となっています。中には過労死をする人も居ます。もし、自分がやりたいことをして死ぬのであれば、それは凄いことなのでしょう。ですが、労働で死ぬのはバカげています。生きるために仕方なく行う行動で、死ぬのは目的の真逆の行動を行っています。自分が行っているのが仕事なのか労働なのかを考えれば、過労死なんて頻発はしません。
今後の労働
仕事と労働を区別することは、今後の世の中では非常に重要となります。
今後、技術が発達することで人間の仕事が奪われるという議論があります。ですが、正確には奪われるのは仕事ではなく労働です。人間自らがやりたいと思っていることを、技術によって奪うことなどでるはずもありません。
労働をロボットなどの技術に任せることができれば、仕事は自ずと生まれるでしょう。ですが、仕事が奪われると言った不毛な議論をしていては、先端の技術を持つ一部の人間だけが得をする世界となってしまいます。
結論
労働と仕事は違うという考えは、日本ではなかなか馴染みがありません。
しかし、現状の格差は一部の人が大勢の労働力を不当に吸い上げている結果です。このままだと、この格差はどんどん広がっていきます。これは、労働を仕事の違いを人々が考えない結果です。もちろん、それが原因の全てではありません。ですが、今後格差を解消したいと考えるのなら、一度仕事と労働の違いを考えてみてはいかがでしょうか?