大阪都構想

2015年に住民投票の反対多数により否決された都構想ですが、ここにきて再び議論が起きています。
前回の都構想を巡る住民投票の結果は、賛成票と反対票の差は、非常に僅差でした。
この大阪市を二分した都構想については、結論として言うと、私は反対です。このサイトを立ち上げる最終的なきっかけも、2019年4月に行われた統一地方選で、大阪で維新が大勝したことです。
今回は、都構想について私が反対している理由を述べます。

始りから矛盾

そもそも、大阪都構想は大阪市を解体して特別区を設置する案です。この案が持ち上がった理由は、大阪市の権限を小さくすることです。ですが、その後に4つの特別区を設けます。これは、現在の大阪市では区の権限が弱いという理由から特別区が作られます。もはや、大きくしたいのか小さくしたいのかが分かりません。都構想はこういった出鱈目から始まるのです。

二重行政

民主主義の否定

都構想について賛成派が持ち上げる意見は、二重行政の撤廃です。
大阪市と大阪府は仲が悪く、そのため、二重行政という仕組みが無駄となり、また、同じ様な施設や、同じ様なビルが存在し、非常に無駄があるため、その無駄を撤廃するのに都構想は必要だと主張します。多くの人がこれに大きく賛成しています。ですが、私からしてみればおかしなことだらけです。二重行政が無駄だとしていますが、これは、民主主義の否定です。民主主義はあらゆる地域やあらゆる職種の人がいる中、多くの国民のコンセンサスを取る必要があります。そのコンセンサスを取るうえで、どうしても粘り強い議論が必要となってくるのです。なので、民主主義国家の行政は、どうしても二重にも三重にもなってくるのです。仲が悪いという理由で大阪市を解体するというのは言語道断です。民主主義とはめんどくさいものなのです。
また、同じ施設や、同じ様なビルの問題に関しても、経済を知らない人が考えそうな上、行政に対してルサンチマンを煽るだけの戯言でしかありません。
同じ施設が多く存在するということは、住民に対するサービスが高いということです。事実、議会で無駄だと判断された病院があり、その病院は閉院となりました。その結果、閉院した病院に通院していた住民は、非常に不便な思いをしています。

二重行政のせいにしたいだけ

同じ様なビルが建ったことに関しては、確かに無駄でしょう。しかし、こういった無駄なビルが建ったのはバブル期で、バブル崩壊後はこの様なことは起きてきません。つまり、この問題の本質は第三セクターによるゼネコン事業の失敗であり、二重行政は関係ありません。この失敗に関しては、反省すべきことではあります。しかし、彼らはこの失敗は二重行政のせいにして、反省をしていません。成功すれば維新の手柄、失敗すれば二重行政のせいにする、それが彼らの思考回路です。

維新は大阪の景気を悪くした

維新は無駄の削減で大阪の景気を良くしたという人がいるでしょう。それは単なる事実誤認です。大阪府は2012年に起債許可団体に転落しています。いろいろなグラフやデータをもとに経済を良くしたと反論してくるかもしれませんが、この起債許可団体への転落を見れば、維新が大阪の経済を悪くしたのは火を見るよりも明らかです。事実、大阪のGDPは下がっています。
デフレ下で緊縮財政を行い、経済が良くなるわけがありません。
ここまでの話で、私が大阪の行政は完璧だと主張しているような印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。実際、大阪の行政は問題が多くあります。その問題を解消するための方法が議論ではなく、都構想という構造改革を選択していることに反対しているのです。

既得権益

都構想を賛成する人の意見として、既得権益が挙げられます。
既得権益を撤廃と言っていますが、既得権益は撤廃されません。右から左へスライドされるだけです。また、既得権益により不当に利益を得ている人がいるのは事実でしょうし、それは問題です。しかし、多くの既得権益は公益のために存在しています。この事実を考えないで既得権益=悪と、十把一絡げに考えて都構想のような構造改革に飛びついてはいけません。事実郵政民営化で、郵政公社という既得権益から、アフラックという既得権益にスライドされたことを忘れてはいけません。

都構想の本質

最後に、大阪都構想の本質について説明します。
今までなら、大阪市は政令指定都市に指定されているため、独自に都市計画を推進することが出来ました。しかし、大阪市が撤廃され、特別区となってしまえば大阪府の税金は直接大阪府に行きます。この流れは、東京都と同じです。そのため、都にならないのに都構想というふざけた名前になっているのでしょう。この特別区は憲法違反と言われるレベルで自治権が弱い自治体です。普通の市町村であれば使える財源や権限を都に吸い上げられるからです。 この仕組みに関していえば、東京ならば成立しても大阪では成立しません。東京23区に住んでいる人口は東京都の70%であるのに対し、大阪市の住民は大阪府の30%でしかありません。この人口割合では、大阪市のために使われる資金は減ってしまいます。
政令指定都市が指定される理由は、選択と集中のために、独自の政策を認めることです。つまり、大阪市に財源や独自の都市計画を失ってしまえば大阪市は衰退します。大阪市というメイン都市が衰退すれば、その周りも衰退します。
大阪都構想で大阪が衰退するのは、疑いの余地がありません。

結論

以上が私が都構想に反対する理由です。
都構想反対にPFIの問題を出す人がいます。
PFIについては反対ですが、割愛します
大阪都構想の問題は、二重行政でも既得権益でもありません、
大阪府民の議論の仕方と論理の組み立てにあります。
また、構造改革によりボロボロにされた日本経済を、
府民がどれだけ反省しているかを確かめる問題でもあります。

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