メソポタミアのお金

現代の通貨システムは、借金をお金としています。このシステムはおかしいと反論する意見が多く聞かれます。そう言った人が提唱するのは、政府紙幣です。この政府通貨は商品貨幣論に基づきます。ですが、商品貨幣は一部の歴史でしか見られません。今回は、人類の最初の通貨だとされる、メソポタミアの粘土板について説明します。

農業と通貨

農業が始まり余剰が出来たことで通貨も生まれました。そして、世界で初めてできた通貨は、粘土板に穀物の量を書いたものでした。これは、主人が労働者にその日の仕事量を粘土板に書き、給料として渡していました。つまり、主人が労働者に対して債務を負っている形です。また、その粘土板は他の労働者が作った作物と交換することもできました。なので、粘土板は立派な通貨だったのです。この粘土板は、作物が作られるという信用をもとに発行が行われ、自分の供給量を遥かに超える粘土板は発行できません。今の、国家の信頼をもとに発行し、インフレ率によって発行量は制限されている現在と全く同じなのです。

金の価値がお金の価値

歴史は進み、中世ヨーロッパでは、金の価値がお金の価値となりました。この時代は、お金自体に価値があると考えられていました。そのため、硬貨の価値は金属の含有量に依存していました。この時代のお金は、負債ではなく、商品だったのです。そのため、金の量が経済の天井となり、人々はデフレで苦しんでいました。その後、銀行ができたことで、今の信用創造の様なシステムが作られ、金貨の時代制度は終わりを迎えました。詳しくは銀行の始まりを参照ください。現在の通貨発行のシステムを批判する人は、銀行のシステムは金貨が正しく、その中で出てきたインチキシステムだと考えるのです。ですが、歴史を見れば明らかで、おかしいのは金貨を使っていた時代なのです。そのおかしな貨幣観を正したのが銀行システムだったのです。

現代の貨幣

現在の通貨発行の仕組みは、そこまでおかしくはありません。もちろん、人が作ったシステムである以上完璧ではありません。ですが、現在の通貨発行を批判している人の意見は的外れなのです。通貨は負債で、インチキで、大量に発行できるものなのです。これを理解しなくては、奇妙奇天烈な経済政策に騙されることとなるでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする