食料輸入の多様性

日本の農業の問題が度々話題になります。
その際に、日本では食料を全て自給自足できません。なので貿易を自由化して、輸入先の多様化することが大切だといわれます。果たしてこれは正しいのでしょうか?
考えてみましょう。

話の概要

まず、この話を分かりやすくすると。
食料を確保するために、いろいろな国から食料を輸入します。もし、A国が不作などの理由で輸入できなければB国から輸入すれば良い。この様なことを担保するためにより多くの国から輸入するということです。

この話は一見正しく見えます。
しかし、全く議論に値しません。
まず話の前半と後半で前提条件が異なります。

前半は開放経済

前半は解放経済を前提としていますが、後半は閉鎖経済が前提になっています。
多くの国から輸入するということは経済は世界的に開放されていることとなります。そうすれば一国の不作は世界的な不作となり、値段も世界的に高騰します。なぜならA国が不作となれば、A国は他の国から食料を買います。そうなれば世界的に食料の数が減るため値段が高騰します。もちろん、それぞれの国は自国民を優先させるため、自国の余剰分しか輸出しません。この様な状況になったとき他国に食料を依存している日本と、食料を今後分けてもらえるかもしれないA国ではどちらが優先されるかは火を見るより明らかです。
また、A国と政治的な問題で輸入をやめたとします。。
これも同様に、2ヶ国間での貿易の衝突は世界の市場に影響を与えます。
A国や他の国は日本に対する戦略物資を持っています。
そうすれば、次の輸入先のB国は確実に値段を吊り上げます。
つまり、食料を他国に依存していれば足元を見られるます。
この様に開放経済ではA国がダメならB国でいいといった簡単なことはできません。

後半は閉鎖経済

逆に後半のA国がダメならB国となるのは閉鎖経済の時です。
貿易をしているので厳密には閉鎖経済ではありませんが、ここでは、日本とA国、日本とB国の間では貿易していますが、A国とB国では取引が行われていないことを指します。
この状況ならば A国がダメならB国 という状況が成立します。
しかし、食料という人間が生きていくうえで絶対に必要なものを他国から依存していれば、日本と戦略物資を持っているA国またはB国は対等な関係にはなりえないでしょう。
そして、A国とB国が貿易していないことから日本も多くの国と貿易することは困難な状況です。つまり、多様性は望めません。

この様に、輸入先を多様化することが大切だという話は全く成立しません。
全てを自給自足することは困難でしょう。だからといって輸入に頼りきるのは論外です。

結論

以上の事から、食料という分野において輸入に頼り切るのはとても危険です。
今の日本の農業の問題を解決することは大切です。しかし、その方法が関税や非関税障壁の撤廃などの自由貿易ではありません。まして、株式会社化でもありません。
食料問題は今後、世界でも大きくなると思います。それにしっかり備えるためにも、この様な話は一度疑うべきです。

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