MMTを批判する上で、挙がる意見として、MMTは社会主義的だというものがあります。MMTが社会主義的だという意見は、あながち間違いではありません。社会主義、MMT、現代の経済について考察します。
冷戦と社会主義
まず、多くの人が勘違いしているのですが、社会主義の反対は、資本主義ではありません。社会主義も、立派な資本主義です。資本主義とは、資本を使い経済活動を行う経済モデルの事をいいます。この資本の所有者が、国家であるのが社会主義です。社会主義の反対は自由主義です。つまり、冷戦の構図は、社会主義vs資本主義ではなく、社会主義vs自由主義なのです。
この冷戦では、自由主義が勝ったことになっています。そのため、自由主義が正しく、社会主義が間違いだという風潮が大きくあります。それは、正しいのでしょうか。確かに、社会主義自体は間違いでした。ですが、自由主義が完璧だと証明されたわけではありません。人間が作り出したものである以上、完璧なものは存在しません。近年の格差拡大は、行き過ぎた自由主義がもたらした結果です。
社会主義の利点
MMTが社会主義的だという見方が、あながち間違えていないと述べたのは、現代の行き過ぎた自由主義からは、社会主義的に見えるということです。
自由主義と社会主義は相いれない存在ではありません。過去に行われた、ニューディール政策は当時、社会主義的だと批判されていました。ですが、ニューディール政策自体はうまくいきました(ニューディール政策自体がうまくいっても、すぐに緊縮財政を行ったため、アメリカ経済を復活させるには至りませんでした)。
この様に、社会主義と自由主義はある程度バランスが必要なのです。
自由主義に任せて、競争をさせた方が、生産性が向上するのは事実です。ソ連の崩壊は、生産性が向上しなかったことが原因の一つです。しかし、なんでも市場に任せてはいけません。インフラなどの、生活に欠かせないものは政府で管理する必要があります。要は、バランスが大切なのです。
結論
今の、行き過ぎた自由主義は問題です。MMTは、それを少し社会主義側に寄せようというだけです。何も、社会主義国家にしろとは言ってません。
もちろん、MMTも間違えているところはあるでしょう。ですので、具体的な批判をすることで、よりお互いの意見を高め合い、より良い世界にしていくべきです。MMTは社会主義的だとレッテル張りをするのではなく、自分の意見の間違いを認めることも大切なのです。