憲法9条と経済

近頃、憲法9条の改憲で、世間では議論が行われています。
日本国民のほとんどが、憲法9条は、戦争についての条文であると理解しているでしょう。しかし、この憲法9条は経済にも深くかかわっています。
今回は、憲法9条と経済の関係を説明します。

国債に対する法律

憲法85条は「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする」となっています。つまり、国会が議決すれば、債務を増やすことが出来ます。ですが、実際はそうはなっていません。
財政法4条では「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借り切れ金をなすことができる」となっています。なので、公共事業以外では、国は公債を発行できないこととなっているのです。また、財政法5条では、公債の日銀の直接引き受けを禁止しています。
なぜ、憲法で認められていることを、法律で禁止しているのでしょう。

財政法が国債を歳入と認めない理由

財政法4条は、憲法9条を根拠に作られています。憲法9条では、国の交戦権を否定しています。国の交戦権と言えば、戦闘を思い浮かべますが、実際は資金調達も含まれます。つまり、財政法4条は、政府が戦費調達のために国債を発行することを防ぐために作られたのです。
戦費は、国債によって賄われます。その理由としては、資金が足りないからと言っても、相手国は待ってはくれません。なので、素早く資金を調達しなくてはなりません。そのため、戦費は国債で賄われているのです。

財政法5条では、国債の日銀の直接引き受けを認めない理由について表向きは、ハイパーインフレを防ぐためだとされています。しかし、国債で説明した通り、市中消化と日銀の直接引き受けは本質は同じです。なので、ハイパーインフレは起きません。なので、実際の理由は、財政法4条と同じでしょう。

以上が、憲法9条と経済の関わりです。このサイトでは、社会保障についても国債を発行すべきだと述べていますが、実際は行うことが出来ません。ですが、公共投資については、国債の発行が認められています。なので、インフラの整備につては、国債の発行で行うことが出来ます。政府は、インフラの整備に関しては、積極的に国債を発行する必要があるのです。

結論

憲法9条の改正については、いろいろな議論が行われています。しかし、この件に関しての議論は、ほとんど行われていません。
改憲する、しないに関わらずこの問題について、国民一人ひとりが理解すべきであるでしょう。

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