お金とは(時間を超えた取引)

「お金とはそもそも何か?」という問いを投げかけられればあなたは何と答えますか。生きるために必要なものなど、人によっていろいろな答えが返ってくることでしょう。私自身もそう思っていました。
しかし、お金の正体は負債の一形態です。

信用を数値化したものと答える人もいますが、それはあながち間違いではありません。しかし、本質をとらえてはいません。
物々交換のレートと答える人も中にはいるでしょう。しかし、人類の歴史において物々交換からお金が発生したという歴史は発見されていません。

では、負債の一形態とはどういうことでしょう。
一つの話を用いて説明します。

とある村でAさんはスイカを作っています。Bさんはいちごを作っています。スイカの収穫は夏ですが、イチゴの収穫は冬になります。ここで夏場BさんはAさんにスイカを分けてもらうことになります。そこでBさんは冬にイチゴを返す約束をします。そして、この年の冬にBさんはAさんにイチゴを返しました。
ところが、とある冬にBさんは不作でAさんにイチゴを返すことが出来ませんでした。そうなってしまえばAさんは冬を越せません。そこでAさんは大根農家のCさんに、来年の冬にBさんからイチゴを受け取る権利と大根を交換しました。
そして、次の年BさんはCさんにイチゴを渡しました。

この話では、AさんがBさんにスイカを渡した際に、AさんはBさんに信用が生じ、BさんはAさんに対して負債が生じています。そして、BさんがAさんにイチゴを渡せばBさんの負債が消滅します。
Bさんのイチゴが不作だった年に関しては、AさんはBさんの負債でCさんから大根を買いました。つまり、Bさんの負債には譲渡性があるのです。Aさんは負債で負債を弁済したのです。
つまり、BさんがAさんからスイカを貰いイチゴを返さなくてはいけない状態こそがお金なのです。

この記事の結論として2点あげるなら、1点目はお金は負債です。
もう一点は信用を介して時間を超えた取引を行うことです。
また最後に信用の数値化に言及するなら、夏にAさんがBさんに分け与えるスイカの量はBさんの信頼に依存します。つまり、お金を多く持っている人の信用が高いのではなく、お金を多く借りることのできる人が信用が大きいということなのです。

以上の話から何となくお金についての認識が変わったと思います。
しかし、今回の記事だけでお金に対する認識を完全に変えることはできないと思っています。なので、お金についての説明を続けてお金とは何なのかという認識を変えて頂ければと思います。

ちなみに世界で一番古いお金はメソポタミア文明の粘土板に楔形文字で書かれた債務の記録です。
この粘土板には小麦をいくら貸したかを記録して、この粘土板で別の誰かから小麦を交換してもらえます。

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