遺伝子組み換え作物は、体には害がないとする論文があります。遺伝子組み換え作物に対して否定的な人は、そんなのは嘘だと言うでしょう。
しかし、今回の記事では、体に害がなくても遺伝子組み換え作物は危険であるということを説明します。
遺伝子汚染
まず、遺伝子汚染の問題があります。遺伝子組み換え作物の花粉を受粉すれば、以前の作物とは違う作物となります。つまり、遺伝子組み換え作物を栽培すれば、その国にある多種多様な作物が、単一なものとなってしまいます。日本の米は、コシヒカリやササニシキなどのいろいろな種類が存在しますが、遺伝子組み換え作物を栽培すれば、これらの多様な種類がなくなり、全て同じ種類の米となってしまいます。
作物の種類が単一となれば、台風や病気などの自然災害に対しての、リスクが大きくなります。アイルランドでは、一種類のジャガイモしか作らなかったため、からし病でジャガイモがほぼ全滅しました。この時の飢饉で人口が大きく減り、現在でも、飢饉前の人口を取り戻してはいません。
そもそも、遺伝子汚染自体が、杞憂であると考える人がいるかもしれません。しかし、メキシコではトウモロコシが遺伝子汚染を受け、もともとあった多様な種類のトウモロコシが、ほとんどなくなってしまいました。
この問題は、農業の株式会社化でも同じことが言え、多種多様な作物を育てた場合、コストがかかるます。会社は、利益を出すために、単一種類の作物しか作らなくなります。そうなれば、リスクは上がります。現在は、国が多少の関与をしているため、利益度外視で栽培することが出来るのです。 欧州諸国で、農家はほぼ公務員扱いされています。
ビジネス
次に、ビジネスの仕組みです。遺伝子組み換え作物は、特許を取得しています。遺伝子組み換え作物の花粉を受粉すれば、全く違う作物が生まれると書きました。その作物に対しては、特許料を支払わなくてはなりません。カナダの菜種農家は、長年の品種改良によって作った、自慢の菜種を栽培していました。ある時、隣の畑に、モンサントが遺伝子組み換え菜種が栽培されることとなりました。それにより、菜種農家の菜種は遺伝子組み換え作物の遺伝子汚染にさらされることとなり、全く違う菜種となってしまいました。これを受け、モンサントは遺伝子組み換えの特許を払えと、菜種農家を訴えたのです。まさに、殴ったこぶしが痛いからと言って、治療費を請求しているようなものです。実際この裁判で、菜種農家は賠償金を払う事はありませんでしたが、モンサントの意見は支持され、判決では、モンサントが勝訴しています。
また、農家が遺伝子組み換え作物を栽培する場合、毎年種を買わなくてはなりません。自ら栽培した作物から、種を取り出して栽培することが出来ないのです。こちらの問題は、遺伝子組み換えだけでなく、穀物メジャーの問題でもあります。今、この2つから日本を守っているのが農協であり、政府は農協を株式化して外資に売り飛ばそうとしています。
除草剤
最後に、実際に体にいいか悪いかの話です。研究の結果は遺伝子組み換え作物よりも、農薬の方が体に悪いと出ました。これは、完全なるブーメランです。遺伝子組み換え作物は、除草剤の抵抗をつけ、畑に枯葉剤を撒きます。そうすれば雑草が全く生えてこなくなりますが、作物は耐性があるため枯れません。しかし、雑草も耐性をつけるため、除草剤はどんどん強力となります。
遺伝子組み換え作物にも、しっかりと農薬が使われているのです。
結論
遺伝子組み換え作物、それ自体は体には安全かもしれません。しかし、その背後にある問題が非常に大きいのです。
今の、日本の農業が問題が多いことは事実です。ですが、問題解決法は、遺伝子組み換えでも、外資を受け入れることでもないのです。