
今回は電子マネーについて考えます。
電子マネーを、私たちはお金だと思って使っています。
このブログで、お金とは債務であると説明してきました。
その説明をもとに今回は電子マネーについて深く掘り下げてみます。
まず、お金とは債務の一形態であり、貸し借りによって生まれます。
今回は、AさんがB社でICカードに1万円を現金でチャージしたとしましょう。
その場合、Aさんには1万円の電子マネーが振り込まれ、B社には1万円の現金が手元に入ります。
ここで全体の動きを見てみましょう。もし、Aさんは財布にある1万円しかなく、B社には100万円の資産があるとします。この状態では101万円しかお金はありません。その後、Aさんがチャージしたことで、Aさんは1万円の電子マネーを持ち、B社は101万円の資産を持っていることになります。つまり、全体のお金は102万円となり、1万円増えました。
B社はAさんから1万円を借りて、電子マネーを負債の証明として渡しています。
お金は貸し借りによって生まれるという定義を、電子マネーは満たしています。
次に、お金は弁済によって消滅するということについて考えます。
Aさんは電子マネーでC社から1万円のカメラを買ったとします。
ここで、Aさんの債権はC社へ移ります。
C社は、電子マネーで持っているよりも銀行口座の方が良いということで、A社に1万円の電子マネーを銀行口座に変えるよう求めました。
A社は、銀行口座と電子マネーを交換しました。
ここで、全体のお金の流れを整理すると、C社にはAさんからの1万円の電子マネーがあります。そして、A社には101万円の資産があり、全体としては102万円のお金があります。そして、C社がA社に電子マネーの1万円を銀行口座の1万円に変えたとき、C社は1万円の銀行預金、A社は100万円の資産と1万円の電子マネーがあります。しかし、1万円の電子マネーはA社の負債であるため、A社のもとに戻ってきたら消滅します。A社は1万円の電子マネーという負債を預金口座で弁済したのです。
なので、最終的にはA社の資産100万円とC社の預金口座1万円の状態となり、初めの状態に戻ります。
この様に、電子マネーは弁済によって消滅するといったお金の定義をしっかりと満たしています。
ちなみに、C社がB社に返済を要求した際、C社はB社に手数料を支払っています。
以上より、電子マネーはお金だと言えます。
そんなことは初めから分かっていると思われたかもしれませんが、ここまで掘り下げて考えた人は少ないのではないのでしょうか。
電子マネーをチャージすれば、世の中のお金が増えると考えた人はいるのでしょうか。
これから、ICカードにチャージするときは、自分はお金を貸しているのだと思ってやると、少し考え方が変わります。
そして、ICカードの会社が手数料で儲けていることについて疑問を持つはずです。