国債とは政府が発行する債券です。つまり、政府の負債です。
では国債はどのように発行されるのでしょう。
直接引き受け
発行のプロセスを順に追っていきます。
1、日銀が政府から国債を買い取り政府の日銀当座預金に振り込みます。
2、政府は財政出動の際、政府小切手を発行してそれで企業に支払いを行います。
3、企業は市中銀行に政府小切手を持ち込み、口座に記帳してもらいます。
4、市中銀行は日銀に政府小切手を持ち込み政府の日銀当座預金から市中銀行の日銀当座預金に振り替えられます。
以上が国債発行の流れです。
3のプロセスで分かる通り、政府が国債を発行することにより市中銀行の預金は増えます。
4のプロセスでは市中銀行の日銀当座預金は増えます。
この流れを見て、わかる通り政府は無限に国債を発行できます。
つまり、政府は打ち出の小づちを持っているのです。
しかし、1のプロセスは直接引き受けといい、財政法で禁止さてています。
理由としては、政府が節度を失くしてしまえば銀行券が大量に発行され、悪性のインフレを起こしてしまうからとされています。これは、歴史的に学んだ知恵だとされていますが、そんな歴史は存在しません。
この理由からでも、国債の発行をしても、財政破綻しないことがうかがえます。
市中消化
実際の流れは
1、市中銀行が日銀当座預金で国債を買い取ります。
2、政府は財政出動の際、政府小切手を発行してそれで企業に支払いを行います。
3、企業は市中銀行に政府小切手を持ち込み、口座に記帳してもらいます。
4、市中銀行は日銀に政府小切手を持ち込み政府の日銀当座預金から市中銀行の日銀当座預金に振り替えられます。
これが市中消化といわれ、実際に行われている流れです。
4のプロセスで1で政府に支払った当座預金が市中銀行に戻ってきます。
つまり、市中銀行は国債を買い取り続けられます。
よってどちらにしても政府は国債を発行し続けることが可能です。
市中消化の場合は市中銀行の日銀当座預金は一定ですが、直接引き受けの場合は日銀当座預金が増えます。そうなれば、国債金利が低下します。そこで日銀は市中銀行に国債を売却をすることで国債金利を保ちます。
このプロセスは市中消化と本質は変わりません。なぜなら、最終的なバランスシートが同じだからです。
なので、直接引き受けをしたからといって悪性のインフレは起こりません。
どう頑張っても破綻しない
以上が国債の発行の流れです。
よく政府は銀行からお金を借りていると言われます。確かに国債を銀行が保有していることからそれ自体は間違いではありません。しかし、銀行預金から借りているわけではありません。むしろ国債が銀行預金を作り出しているのです。
よく言われる話で、政府の負債が国民の預金を上回れば財政破綻するとあります。しかし、借りたら増えるのでどう頑張っても預金を上回ることはできません。
インフレ率
政府は税金を財源にする必要はありません。しかし、国債は無限に発行することはできません。理論上は可能ですが、実際はインフレ率の制約を受けます。公共事業を行うために国債を大量に発行しても、それを実行できる能力がなければ悪性のインフレを起こすだけです。つまり、国債の発行量は国の供給能力に依存しているということです。
今の日本は国債が多すぎて政府が破綻すると言われています。しかし、日本はデフレなので逆に国債が少ないのです。確かに何も考えずに発行するのは問題ですが、政府が財政出動しなくてはデフレは解消しません。
緊縮財政はやめろ
最近、無駄をなくせと言っている政治家が良く当選しています。財政を拡大するという政治家は叩かれます。しかし、今の日本では逆です。何も考えずに、無駄なことをするのも問題でしょうが、緊縮を行うことはもっと問題なのです。
これは、国民が国債についての知識があまりにもないからでしょう。
今後、国債についての理解を深めていく必要があります。
でなければ、日本の経済はこのまま縮小し続けます。